コンビニエンスライフ

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自転車に乗って楽に坂道を登りきる方法

 

 

いきなりだが、私が中学生のときに編み出した裏ワザを紹介しよう。
その裏ワザとは、タイトルそのままである。

 

「自転車で楽に坂道を登りきる方法」

 

私の家は坂道を登ったところにあったから、当然のことながら坂を登らなければ家に帰れない。高校生の頃は自転車通学だったからよく今から教える裏ワザを使って帰ったものだ。

 

もちろん普通の自転車でだ。「電動自転車で」などと野暮なことは言わない。ママチャリを想像してほしい。マウンテンバイクでもないぞ。ギアなどこの技の前では何の価値もなくなる。

 


さらに、この裏ワザは余程急な勾配の坂でない限り適用できる。また、「立ち漕ぎ」をも必要としない。座ったまま、快適に上り坂を登りきることができる。

 

さて、ワザの説明に入る前に、まずは何故私がこのワザを編み出したか、その理由を申し上げねばならない。


率直に言うと、私には兎に角「自転車を押して歩く」という行為が苦痛で仕方ないのであった。


皆さまもそうであろう。足でペダルを漕いで運転することができなくて、押して前に進まなくてはならないとき、自転車は単なるばかでかい荷物になる。荷物でしかなくなる。

 

 
さらに、それは坂道において重荷になる。

車輪が付いているとは言えど、キャリーバッグとは大きさも形も全然違う。自分の体よりも自転車(ハンドル)を先行させなければならない。後ろにその重荷を引いて歩くことは不可能に近い。ちなみに、ここでは最も一般的な自転車(ママチャリ)を想定して書いている。


また、やはりキャリーバッグとは異なり、ほとんどの場合、片手で操作するには少々な不自由を伴う。例えば、片手でハンドルを握りもう片方の手で携帯電話操作しながら歩く場合、歩く速さは手ぶらで歩くときのそれと比べて何倍も遅くなるだろう。

はたまた、カルビーのポテトチップを食べながら歩く場合などは、ポテトチップを口に運ぶ度にいちいち立ち止まらなければならない。

 


自転車を押して坂を登るというだけで体力的に疲れるのに、両手も塞がっているという精神的疲労も伴うのだ。

 

果たしてこれが文明の発達した現代人のやることだろうか?私は人間のこの「自転車を押して歩く」という行為ほど非生産的な行動を知らない。まさに愚の骨頂と言う他ない。

 

ではこれを回避するにはどうすればよいか。

 

簡単なことだ。自転車に乗って楽に漕げさえすればいいのだ。換言すると、「平坦な道を進んでいるときと同じように運転出来れ」ばそれでいい。


これは今から読者の皆様に裏ワザを教授するにあたって非常に重要な条件であり、定義であり、且つ私がこの裏ワザを発明した理由の核心をなす。どうかここのところをよくふまえておいてほしい。これからいよいよ裏ワザの説明に入る。

 


前置きが長くなってしまった。では裏ワザのやり方を簡潔に説明する。坂道を登るときに平坦な道を進むように漕ぐためには、どうすればいいか少し考えてほしい。

そう。上(前)に進むのではなく、「横」に進むのだ。つまり真っ直ぐな坂道の場合、坂道の上下方向対して垂直に進むことになる。こうすれば、重力の影響を受けずに、容易に運転ができる。片側の端に行き着いたら折り返すことになるが、その時前輪は坂の頂上にむかって反転させる。

そして、また坂道に対して垂直方向に進む。道の縁ついたらまた先ほどの方法で折り返す。垂直方向に進む。これを繰り返す。ちなみに、純粋に坂に対して90度で進んでいたのでは折り返しの時に脚にかなりの負担がかる。なので実際は70~80度の角度で進むことを推奨する。

口頭ではわかりずらいだろうから、絵を描いてここに示す。


         

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絵が下手で大変恐縮なのだが、お分かりいただけただろうか。簡単に言うと、道の縁から縁への移動を繰り返すだけだ。この裏ワザでは、赤い矢印で記した折り返しポイントでしか坂道を登らない(厳密には折り返しをしやすくするために青い矢印でも少しずつ登っている)。

重力の影響を受ける箇所を極限まで減らし、さらに細かく分散させることによって平坦な道を登るときと然程変わりない感覚で坂を登ることを可能にした。


「でも結局は折返しの時に脚に力入れないといけないじゃん。」

という声が聞こえてきそうだが、それも問題ない。

真っ直ぐ進むときと、曲がるとき、どちらがペダルを漕ぐ力を要するか、皆様方々わかるだろうか?

圧倒的に前者だ。

例えば、恐らく皆様は「ペダルを漕がずにどれだけ進めるか。」を試す遊びをやったことがあるだろう。自転車の勢いが弱まり、停止しそうになった。悪あがきをしてもう少し距離を伸ばしたい。さあどうする?

恐らく君はハンドルをがむしゃらに左右に振り動かすと思う。そうすると自転車はくねくねと、僅かではあるが前に進むはずだ。

これと同じだ。ハンドルをきりながら漕ぐと、ペダルを踏む脚にさほど力を入れずとも前輪は回転するのだ。


あと、道の幅が広い場合は、必ずしも道の縁まで行く必要はなく、好きなところで降り返してもらっていい。ただ、私の経験上、道の縁まで行く方が精神的に楽である。

また、このワザは曲がりくねった坂道にも応用することができる。基本的には道の縁から縁へ移動して行けばいいのだから。

 

 

だが、この裏ワザには一般的に見て欠点が二つほどある。

 

 

ひとつ目の欠点。

 


もちのろん、それは純粋に危ないということだ。道を横切ることを何回も繰り返すこのワザは、車の通行量の多い道においてはこの裏ワザは危険なので実践してはいけない。確実に轢かれる。

 

 

もうひとつの欠点。

 

この裏ワザは上り坂を疲れずに登ることが出来るが、その反面、致命的に遅いのだ。

両刃の剣。

「スピード」をとるか、「快適さ」をとるか。両方をとることは物理的に不可能だ。この裏ワザは究極的に快適さを重んじた。


しかし私にとって実はこれは欠点ではない。何故なら先ほど申し上げた通り、私は上り坂を登るとき、「平坦な道を進んでいるときと同じように運転出来れ」ばそれでいいのだから。そのためだけにこのワザを編み出したのだから。

 

早く登りたいならゼエゼエ言いながら立ち漕ぎで頑張って登るしかない。

 

頑張ろう。自転車通勤、自転車通学の皆さま!