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宇多田ヒカルの最新アルバムの客演がスゴイ。

 宇多田ヒカル待望のニューアルバム「Fantome(ファントーム)」が去る9月28日、この世にドロップされた。まあ間違いなくあらゆる音楽チャートで1位を独占するであろう。何せ宇多田ヒカルが満を持して、2008年の「HEART STATION」以来8年ぶりにアルバムを出すのだ。音楽に疎い人にも音楽通にも、オーバーグラウンドでもアンダーグラウンドでもリスペクトされる宇多田ヒカルのようなディーバは日本では珍しく、マイケルジャクソンのような最高のシンガーだ。未だ嘗て「宇多田ヒカルが嫌い」という人に会ったことがない。

 

 itunesではアルバムが配信された瞬間に総合ランキングで1位になるほどのポピュラリティを誇る。世界的にも。彼女が久しぶりにアルバムを出しただけでメディアは騒ぎたてるし、J-POPリスナーは注目するだろうが、アルバムの内容が良くないとここまでの人気と話題にならないはずである。

 

 つまりアルバムのクオリティが高いということが言いたいのだが、その一助になっているのが、客演である。宇多田がfeat.するなんて!しかも旧知の間柄の人と、はたまた今をときめく人と。客演の楽曲は3曲あるが、それぞれが否応なくコンテンポラリーかつ最高傑作なんだよ!一つ一つ見ていこう!

 

 4.二時間だけのバカンス(feat.椎名林檎

 

 

 デビュー同期である、日本屈指のディーバ二人が組んだ一曲。この二人は東芝EMIガールズというユニットみたいなものをかつて組んでおり、カーペンターズのI won't last a day without youカバー以来の合作である(唄ひ手冥利〜其ノ壱〜森パクトディスク収録)。この二人の共演が見られるなんて生きててよかった、という感じだが、ビデオミュージックも制作されており、その世界観に圧倒せざるを得ない。

 


「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」(アルバム「Fantôme」TV-SPOT)

 

 椎名林檎東京事変のライブ演出も手がける児玉監督の采配。百合?宇宙の旅?二人がフォトジェニックすぎてドン引きである。EMIガールズ時代ではハーモニーが美しかったが、今回も華麗なるユニゾン披露。「ですます調」が好きな宇多田のトラベリング節もヒカル。不倫っぽい要素を匂わせる歌詞も女同士のふれあいもグッドだし、これを家族のために本気で頑張っていそうな二人が歌うから聞き入ってしまう。

 

 6.ともだち with 小袋成彬

 

ともだち with 小袋成彬

ともだち with 小袋成彬

 

 

 SONGS主演時に披露したエモい、かつキャッチーかつドロドロした、清濁併せ持つ1曲だが、入りのイントロのビートが流行りのダンスミュージックを思わせるような軽快なリズム。足とか首でリズムを刻んでしまう。もうその時点でこちらの負けだ(私は一体何と戦っているのだ)。こちらはがっつり同性愛について歌った曲らしいがその歌詞の内容は普通の男女の間柄にも応用できるのは当然として、歌詞が衝動的かつ過激なのに誰でも共感できそうで、メロディ誰もが口ずさんでしまうようなわかりやすさ。

「あいつ見てる」

敵視する攻撃的な歌詞!2番になるとよりラディカルな歌詞が展開される「キスしたい ハグとかいいから」「君に嫌われたら生きていけないから」「墓場に」

いろんな顔を見せてくるヒッキー最高かよ!小袋氏仕事の質高すぎかよ!ハーモニーも気持ち良い!

 

 9.忘却(feat.KOHH)

 

忘却 (feat. KOHH)

忘却 (feat. KOHH)

 

 かなりの問題作である。お互いファンであったという刺青だらけのラッパーKOHHとの共作。やはり最初にKOHHのラップを持ってきたか!という感じだ。こちらも生粋のJ-POPリスナーがひやっとするような歌詞が満載であるが、さすがは過酷な環境でサバイブしてきて、流行の最先端を突き進むKOHHの選ぶ言葉は重みがあって、なおかつ情緒的でリリカル。詩的で私的なんだYO!

 「記憶」、「忘却」、「酒」がテーマっぽくて、これだけ見ると「君の名は。」っぽいけど中身はもっと生々しく、「生き方=死に方」という人生の境地に行き着いた作品なのである。KOHHはお客さん誰もいないとこでライブしていたのに、今や海外でもライブし、ついには自身のファンである宇多田とも共演を果たしてしまった。ヒップホップドリームと国民的女性シンガーの融合、ここに極まれり!


KOHH ”飛行機” Official VideoDir Havit Art Studio

 

 その次の曲「人生最高の日」はポップなので揺り戻しが来る。安心する。ロードショーでリングが放送されている時にコミカルなCMが挟まれるあの現実感。

 

 

 この3曲を聴けるだけでもこのアルバムを買う価値はあるし、日本の音楽界を賑わすだけの力を存分に有している。「道」と「花束を君に」はお母さんに思いをはせることができるし、活動休止中に突如発表された「桜流し」をCDで聴ける幸せ!エヴァを劇場で見ながらしみじみしたことを思い出す。

 何はともあれ、宇多田ヒカル最高です。

 

唄ひ手冥利~其の壱~

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DIRTII[初回限定盤]

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