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『君の名は。』のものスゴいネタバレをしようと思うんだ。

 先週、話題沸騰中の『君の名は。』を見てきた。

「君の名は。」予告

 

 

 

 見終わった直後は率直な感想として、なぜこんなにも人気があるのかわからなかった。というのも今までの新海作品を見ていた人にとっては(特に『秒速5センチメートル』)、ストーリーや設定など代わり映えしていないとまでは言わないが、なんか「秒速」に通ずる要素がありまくりだったからだ。既視感もあって、この見たことある「ボーイミーツガール感はなんだ?」と訝しんで調べていたらなるほどZ会のCM「クロスロード」だった。実際このCMの着想から『君の名は。』は出来上がったらしい。


Z会 「クロスロード」 120秒Ver.

 

 何はともあれ、あんな「秒速」みたいなエモすぎてキモい映画があそこまでの興行成績を収めるはずがない。 

 

  ラストを今まではバットエンド、もしくはよくわからんけど寂しくなるような最後の展開だったが、『君の名は』」はハッピーエンドを想像させるようなストーリーを描いていて、ここに大きな違いがある。

 

 これは本当に大きな違いで、これまでの一抹の寂しさを覚えるようなラストだったらこんなに人気を博していないだろう。これはアンダーグランドで活躍していた作家やミュージシャンが急にオーバグランドに赴く際の最たる変化だと思う。

 

 新海誠が名うてのアニメイター、監督として評価をもらうよう契機となった『君の名は。』という作品で新海誠のターニングポイントを見ている気がする。ただ、新海からはセルアウト、いわゆる「悪魔と契約」=「売れるために大衆にへつらって自分の信念を曲げる」の精神はあまり見受けられない。往々にして売れると古参のファンたちはやいのやいの言いそうなものだが、彼らに対するニーズにもしっかり応えながら、アニメに全く興味がない人からもプロップスを得ているのである。

 

 設定や世界観の説明責任をちゃんと視聴者に果たしているし、突っ込みどころはなくないわけではないが、しっかりとそのしかるべき解りやすさと、「気付き」を与えてくれ、腑に落ちる形でストーリー展開を充分楽しめることができるのである。いや、確かにツッコミどころはある。滝は入れ替わりの最中で、テレビのニュースや街のポスター、スマホの日記の日付から今が自分の生きている時とは違うってわかるだろ、とか日記をiCloudとかUSBとかDropboxにバックアップしとかんかい(どうせ消えるだろうけど)!とか重箱の隅をつつくツッコミはできるのだろうが、その全てが野暮天に終わってしまうことは請け合い。

 また今まで新海が作ってきた作品の流れをしっかりと組んでいることも人気のひとつ。『言の葉の庭』のヒロインであるゆきちゃん先生が登場しているし、すれ違いまくりだし、あと、絵が綺麗すぎるし。そう、やっぱり背景の絵が鮮やかで画集が欲しいくらい綺麗なのである。特に空。『言の葉の庭』では雨の空模様などが特に取り上げられていたが今回も自然の脅威の中にふつくしい光を見た。 

 

 

 見た直後は「面白くなかった」とか強がっていたというか嘯いていたけど、時間が経つにつれ、日に日に『君の名は。』を思い出す。「てっしーとさやちん結婚するのかー」とか思う。てっしーがテロまがいのことをした時は本気で引いたが。

  

 

 んで、今まで書いてきたことはぶっちゃけどうでもいいんだ。今からネタバレをしようと思う。これだけヒットしていて、まだ見ていない人がいるとしたらそれはあんまり映画に関心がない人だと思うから今からネタバレをしたとて別に問題なかろう。

 「秒速」は山崎まさよしの『One more time,One more chance』のPV映画であるとも言えるが、今回もradwimpsの楽曲が随所に挿入されていて、映画とマッチしつつ、それでも映画の内容には必要以上に干渉してこないというBGMとして最高の仕事をしている。


秒速5センチメートル 特典 「One more time, One more chance」 山崎まさよし

 

One more time,One more chance 「秒速5センチメートル」Special Edition

One more time,One more chance 「秒速5センチメートル」Special Edition

 

 

 

 

 『君の名は。』のCMやメディアの広告で一番流れていたのが、『前前前世』だ。オープニングとしても使われているこの曲。


前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV

 

君の名は。』は人物同士が入れ替わる話であり、SF要素もある。未見の人でここまでは知っている人も多いだろう。んでこの『前前前世』というオープニング。なるほど。

 

今からネタバレを以下に書く。

 

 

これです↓

 

 

この映画は「前世」にまつわる話ではない。「前世」とか「来世」という要素もほとんどない。「前世」はストーリーには何ら関係がない。

 

 

この曲のイメージのおかげで主人公とヒロイン二人の「前世」の因縁とかが関係あるのかな?とちょっとでも思った人には「そうではないよ!」と言いたい。あと、ついでに言うと、『前前前世』がかかるのも思ったより劇中では少ない。他の曲、『なんでもないや』の方が印象に残っている。

 

 

なんでもないや

なんでもないや